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本当は怖い情報科学

情報系大学院生の趣味&実益ブログ。

身分制度と多重下請け ― 分業と身分制度は、日本人の国民性か?

学生とIT業界トップの公開対談で胸を衝かれたこと---IT産業を呪縛する“変われない日本”

昔,「行き詰ったプロジェクトを立て直す」というテーマで取材したときに,ある大手システム・インテグレータで聞いた話だ。そのインテグレータで,火を噴いたあるプロジェクトをどうリカバリしたかというと,「外注先にものすごく生産性の高いプログラマがひとりいて,そいつをカンヅメにして,わんこそばのように仕様書を次々と渡して一気に作らせた」のだという。それほど優秀なプログラマも,大手インテグレータにスカウトされたりはしなかった。大手の社員になるか下請けになるかは,新卒入社時に決まる身分制度のようなものだからだ。

というくだりを読んで、以前に印象深かった「江戸時代のクリーン社会」のことを思い出した。

(もちろん僕は歴史の専門家ではないので、以下、間違いや誤解があるかもしれない)

江戸時代には、江戸に100万人の人間が住んでいたといわれているが、その都市環境はすばらしいものだった。人々はモノを大事にし、徹底的なリサイクル社会でほとんどごみを出さなかったから、ヨーロッパの大都市のパリなどと比べて非常に美しい街だった。現代の私たちも、そのリサイクル精神を見習って、これからの環境を守っていかねばなりませんね。

・・・というのが、よくあるストーリーだ。

ところで、江戸を非常にクリーンな街たらしめた要因は何なのかといえば、

環境先進国・江戸(1) - EARTH, OCEAN, and LIFE

江戸時代の人々は壊れたものを修繕して、できる限りながく使うことが普通でした。

  1. 破れた紙を張り替える提灯の張り替え屋
  2. 鍵の修理をする錠前直し
  3. 瀬戸物の焼き接ぎ屋。割ってしまった陶磁器を捨てずに修理して再利用。
  4. 鍋の穴を塞ぐ鋳掛け屋(金属製品の修理)
  5. 刃物の研ぎ屋
  6. のこぎりの目立て
  7. キセルの胴竹をとりかえる羅宇屋(らうや)
  8. 樽や桶の壊れたタガを修理する箍屋(たがや)

 などなど...

と、要はリサイクルのための多彩な専門業者の存在があったから。
現代では考えられないそのような職業の存在を可能にしたのは、

  • 人件費が安い(というかモノが高かった。鎖国だし)
  • 身分制度によって、職業が固定されていることが多かった

という背景があることを忘れてはいけないと思う。ある意味で、そのような「犠牲」を払ったからこそ、クリーンな大都市が維持できた、というべきだろう。

身分制度による分業と安い人件費というと、形こそ違えど、どうも日本のIT業界の姿と重なる部分があるように思えてならない。また、管理する側と実行する側が(はじめから)明確に分離している(いわゆる「キャリア」)も日本の特徴かもしれない。

このような「身分制度と分業」は、日本人の国民性なのかね・・・

だとしたら、単なる欧米のマネでほ、IT業界が世界に対して競争力を獲得することはできないのかもしれない。日本人の国民性とマッチした、独自の体制を考える必要がある・・・のかも。

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